DCEUを一通り観終えての感想(4)

今回は「アクアマン」以降の感想を簡単にまとめていきます。多分今回が最後になります。

 

「アクアマン」はこれまでのスナイダー作品にあったダークさやシリアスから離れ、新たなDCEUの方向性を決めた作品だったと思います。ワンダーウーマンスーサイド・スクワッドも違う雰囲気の作風でしたが正直成功はしてはいなかった(言っちゃえば面白くなかった)ので、観る前はシリアスじゃないDCEU映画=イマイチという印象でした。ただ蓋を開けてみればこれが面白い。シリアスさだとか脚本の緻密さ、考えさせられる要素というのも特になかったのですが、エンタメ映画として成功していたんではないでしょうか。まず水中の世界は絵面がどれも新鮮で見ていて飽きないですし、地上のバトルも青々とした空を背景に爽やかな印象を与えていました。まるでこれまでのシリアスから真逆の路線で行くんだと宣言するかのような爽やかさでしたね。加えて、アイデアの出し惜しみはしないとばかりに色々な要素が詰め込まれていて、そのどれもがマーマン的な世界観で繰り広げられるため新鮮で退屈する暇がなかったです。海中種族同士の戦争なんてこれまで見たことがないですもの。
 絵面の爽やかさだけじゃなく、プロットも爽やかで気持ちのいいものでした。映画について感情と言うとキャラクターの心情と同調する感情移入という意味が想起されると思いますが、この映画を観て思ったのは観ている人が映画の脚本などに対して抱く感情というものもあるなということです。たとえば胸くそ展開に対して抱く嫌悪感だったり、ハッピーエンドへの「こうでなくちゃ」という気持ちだったり。この映画は、そういった感情を絶対に悪い方向に持っていかない。必ず、観ていて気持ちのいい方に持っていってくれる。「こうでなくちゃ」を実現してくれるんです。だからといって話の展開が読めてしまうということもないです。常に新鮮さと驚きを提供してくれるので。そういう意味で誰にでもオススメできる良い作品でした。

 次の「シャザム!」もこの傾向を引き継いでいて中々に面白かったです。その次の「バーズ・オブ・プレイ」も同様に面白く、特に女性の描き方がすごくいいなと。ワンダーウーマンは男らしい女性ですけど、こっちのは女性らしい女性で。女性を描くのに男だとかラブロマンスだとかは要らないんですよ。あと演出もしゃれてて良かったです。

 やはり連作映画は単発映画と違って、深みを増すごとにシリアスさが出てくるし、新鮮さでゴリ押しできなくなるのかも知れないなと思った次第です。実際どうなんでしょう。

 最後に「ワンダー・ウーマン1984」ですが、これに関してはイマイチでした。新鮮味のないストーリーと中途半端に考えさせるシリアス成分。願望じゃなく真実を見るというテーマだったのでしょうが、特に自分には響きませんでした。なにがいけなかったんでしょうね。

 最後の作品はあれでしたが、次回作の「ザ・スーサイド・スクワッド」はどんな映画になるんでしょうか。ジェームズ・ガン監督の作品ですからぶっとんでるといいな。ただ何事も期待はあまりしないように。期待値が低いほど、いい意味で裏切られる確率が高くなりますしね。